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ホーム > NewsWEEC Pick Up > 健康人事委員会便り > ~健康人事委員会便り 第13号~




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~健康人事委員会便り 第13号~

2015年7月8日 水曜日

先月、私ども健康人事委員会も事務局となり、一般社団法人日本ヘルスケア産業振興協会の主催で「企業と社員を取り巻くストレスを考える」シンポジウムを開催。会場となった東京丸の内ビルディングカンファレンスルームでは、定員の50名を超える参加者をお迎えして、18:30から20:30過ぎまで続きました。

 

前号でお伝えした、基調講演の第一部は、ストレス学の租であるハンス・セリエ博士(ハンガリー系カナダ人の生物学者)に師事され、「性格とストレス」を研究し、FFS(Five-Factors and Stress)理論を提唱された小林恵智博士。

 

そして、基調講演の第二部は、企業の産業医を経験され、経営学を学び、医学博士となり、現在、北里大学医学部公衆衛生学の助教である江口尚博士です。

 

今号では、北里大学医学部江口博士の講演内容「ストレスチェックを活用したメンタルヘルス活動」をお届します。

 

企業の産業医を経て、MBAを取得。現在北里大学医学部公衆衛生学で、ストレスチェック制度をはじめ健康投資と企業価値向上の因果関係について研修をされている見地からの話が中心でした。

 

実際に、現在組織風土や健康への投資と企業収益性の研究に取り組まれているとのことで、ストレスチェックを形骸的にやるのではなく、より経営層が関与して行う事で、よりよい会社運営を目指すことができる、という観点はとても印象的でした。

 

冒頭まず、ストレスチェックの基本的な考え方が講義され、ストレスチェック/メンタルヘルス疾患予防の段階として

・一次予防 メンタルヘルス不調にならないようにする施策立案と実行

・二次予防 メンタルヘルス不調になっている者を見つけ、治療を行う

・三次予防 メンタルヘルス不調が治った人が再発しない施策を行う

という総合的な取組のなかで、今回のストレスチェック義務化においては一次予防に厚生労働省が重点を置いている、との話がありました。

 

つまりストレスチェック制度は、メンタルヘルス不調者を発見することや、メンタルヘルス不調の再発防止だけでなく、”ストレス状況の改善及び、働きやすい職場の実現を目指すもの”だそうです。未然防止は当然として、環境を整えることで、生産性を向上させることが目的だということです。

 

メンタルヘルス不調が発生するのは個々人の責務ではなく、環境にも課題があるということが解っています。同じ仕事でも周囲の環境、サポートで人の反応は変化します。では一次予防として“どうすればいいのか?”という疑問に対して、江口博士は研究をもとに次のような取組を考えています。

 

1.企業理念はどうなっているのか

2.組織風土はどういうものなのか

3.職場の一体感はどうなっているか

 

企業理念とは、多様化する職場で共有された前提を意識的に構築する概念。組織風土は「直接的、間接的に知覚され、モチベーション及び行動に影響をおよぼすと考えられる測定可能な一連の仕事環境の特性」として定義されています。

 

組織風土が健康に与える影響について江口博士は研究をされていますが、まずは従業員の事を考えた企業理念の浸透が重要なポイントになり、次に良い(とされる)企業理念と一体感のある職場作りが必要になるといいます。企業理念と組織風土の研究でも、裏付けがされてきているとのことで、こうした環境の会社で社員が仕事ができる組織では、メンタルヘルス不調者はとても少ないというデータがでているそうです。

 

またストレスチェック制度は「義務だからやらなければいけない」という姿勢よりも、「会社の経営状況をよくするために行うもの」と経営層が認識していく事が肝心であるといいます。単に人事部や総務部が、健康診断の1つの項目と考えて行うのではなく、経営層が前面に関与することでよりよい結果を生みます。よりよい結果とは、企業価値を上げる、経営状況を向上させるきっかけになるという意味です。

 

ストレス状態を把握することで、企業理念や職場風土など、あらゆる要素を根本的な部分から改善すること、改善を検討することが可能になります。その結果、メンタルヘルス不調者を減らすことができ、且つ良好な経営を行えると認識することが重要だと江口博士は言います。

 

ストレスに関する研究の現場では、メンタルヘルス不調者に対する対処療法よりも根本的なところに着目が集まりだしているそうで、そもそも出さないために、経営理念や経営そのもののコアな部分への取組と因果関係の研究が始まっているそうです。

 

コアな部分への取組を開始するには、まず経営層と人事総務部門、産業医、保健師がきちんと情報共有をし、円滑な運用を準備していく事から着手する必要があり、その結果、意味のあるストレスチェック体制ができるのではないかとのこと。

 

その運用を法的に定められているように「衛生委員会で運用」する、つまり 個人の問題ではなく、組織の課題として捉えて取り組むとかなり違うとのことでした。

 

『江口博士のお話をきいて』

ストレスチェックという名称だけでは、その真意には気づかないものですね。12月からのストレスチェックで、過ストレス状態になっている人を見つけ、治療し復職しやすい環境をつくる事は重要です。しかし未然防止として、「全体のストレス状況はどうなっているのか」「どうして、いまの状況になっているのか」という因果関係を探り、改善し続けていかなければ、メンタルヘルス不調者が出続ける可能性がありますね。

 

例えいまはゼロでも「どうしてゼロなのか」を把握できていなければ、それは「たまたまの結果」としてのゼロかもしれません。経営層が主体となり、根本要因を探り、(あるいは把握する仕組みをつくり)、解決することが経営改善。そういう視座で捉えることができれば、ストレスチェックの導入も「せっかくやるんだったら、根本から改善しよう」という取り組み姿勢に変化するかもしれませんね。

 

以上で2回目の報告を終了します。次回、シンポジウム報告の最終回となりますが、楽しみにしていてください。

 

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